雨乞い

2002年1月17日
昨晩、本当に久しぶりに雨が降った。

ずっと冬とは思えない陽気で、いい天気が続いていた。いくら西表でもこの季節に夜もTシャツで過ごせるほど暖かいのは異常である。個人的には暖かくて結構なのだが、雨が少ないのが心配だった。2月から始まる日本一早い田植えにむけて、稲の種まきの時期に入っているからだ。米を作っている人たちは沢の水がかなり減っているのを気にしてた。

一昨日、カマイが取れたのでおじーたちと飲んでいた時やはり天気の話になった。
おじー「おい、お前明日アマウガンに行って石投げてこい」
僕「??」
おじーの話を聞くと、アマウガンに石を投げると雨が降るという言い伝えがあるそうだ。

翌日、僕は半信半疑ながらアマウガンに行くと近くの石を拾って鳥居の中に投げ込んだ。鳥居から先は急な斜面になっているため、投げ込んだ石は他の石と一緒に転がり落ちてくる。おじーの話ではこれが雨を呼ぶそうだ。
さてその晩。
本当に降っってんの、雨が。それもバケツの水をひっくり返したような大雨。びっくりした。

おじーの話では昔は正式な雨乞いの儀式があったそうだ。浦内川の今は観光船の発着所になっている付近の軍艦石。干立の人はあそこまで行ってかつて雨乞いの儀式をしていたそうだ。その時は全身を草で覆った神が現れていたらしい。今の神よりもずっと原始的な姿をしていた神が。

今80歳のおじーが尋常小学校4年の時に見たのが最後、というのでもう失われた儀式だ。神への祝詞も覚えている人はいないそうだ。

現代では水道も普及し、食料も豊富で干ばつに対する昔のような危機感はない。必要性の無くなった儀式は忘れられる運命にあるのだろうか。

一緒に飲んでいた50代のおじーが、若い時軍艦石の近くにある雨乞いの石を川の水でぬらしたところみるみるうちに空が曇って雨が降ったことがあったと言った。

西表で生活していると時々神の存在を感じる瞬間がある。
軍艦石の雨乞いの神は今もあそこに居るのだろうか。

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