ぎまのおじー

2002年1月19日
昨夜はぎまのおじーの家に行って飲んできた。
昼におじーの家の前を通った時カマイの解体をやっていて、
「夕方まわってこいよ!」
と言われた。
夜飲みに来い、という意味。

ぎまのおじーはカマイを獲ると、必ず人を呼んで飲み会をやる。皆でその日獲れたカマイを食べるのだ。刺身、肝、照子おばーの作ったカマイ汁や血イリチャー…

普通カマイを獲る人はこういうことはしない。ほとんどの人が売るためにカマイを獲るから。肉も骨も内臓も冷凍して、売るためにとっておく。

昔冷凍庫が無かった時代、誰かがカマイを獲ると近所の人たちが集まって皆で食べていたそうだ。カマイだけでなく魚など他の獲物がたくさん取れたときも同様に、皆で分け合うというスタイルでお互いが助け合っていた。ユイマールの精神につながる相互扶助のやり方だった。

しかし今はカマイも冷凍保存が可能になり、高く売れるため、ぎまのおじーのようにカマイを食べる人は少なくなった。

おじーもある程度の肉は保存して買い手がいたら売る。でもおじーは最初から商売で獲ろうとはしない。あくまで自家消費程度の感覚で罠をかけている。

ぎまのおじーは冬のカマイの時期が終わると機械・農薬を使わない伝統農法で米を作る。苗を植える時は干立や祖納から人がやってきて皆で手植えをする。ユイマールだ。田植えが終わるとシコヤ(田小屋)で田植ビジラーという古謡を謡う。そして夏は網をかついで海に行きマキアンという漁法で魚をたくさん獲ってきて、やっぱり人を集めて魚を食べながら酒を飲む。そうして一年が過ぎていく。

ぎまのおじーは昔から変わらないリズムで、自然と伝統の中で生活している。

酒をかついでおじーの家にいくとそんなに広くない家にたくさんの人が入って飲んでいる。てるこおばーは「また飲んで!」て怒るけど、いろんな料理を次々出してくる。
「もう食べきれないよ、おばー」
「遠慮するな、もっと食べれ!」

今朝二日酔い気味で目を覚ますともう8時だった。今日はぎまのおじーの種まきの日。田んぼに行くともう苗代を作っている。西表でも苗代で苗を育てて田植えをするのはぎまのおじーくらい。水牛に田んぼを耕させて、手で苗を植えて古謡を謡う。伝統農法を大事に守っているぎまのおじーの米作りが始まった。

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