干立ペンション村

2002年10月10日
今日「干立ペンション村」の建設業者入札がありました。ようやく、この事業が形としてスタートしたことになります。
この「干立ペンション村」事業とは、国・県・町が進める「体験滞在型交流事業」の一つとして干立の空き地に貸別荘型の宿泊施設を計10棟造り、公民館が管理運営して滞在者に干立の文化や自然を体験してもらい地元の人と交流をするという目的で行われるものです。
行政がハコ物を造って地域に押し付ける典型的な公共事業ともいえます。反対意見の人も多いようですが、公民館総会で推進していくことが昨年決まりました。この一年はその準備で僕もいろいろ関わってきました。

西表島には素晴らしい自然が残されています。それを目的に年間300万人近くの観光客が訪れています。最近はエコツアーと称して、より自然を体感できるタイプの観光も人気です。
でもそんなツアーに参加する人たちを見ていて、本当の西表を体験しているのかな?と疑問に思っていました。観光船に乗ってマングローブを見たり、西表にきて間もないガイドに連れられて滝を見に行ったり。確かにそれだけでも都会から来た人にとってはすごい体験なのですが、でも西表はそんなものじゃない。そしてそれを体験させてくれるのは、ヤマトゥーのエコツアーガイドではなく西表で生まれ育ったオジーオバーなのです。
彼らの自然に対する知識、技術はすごい。図鑑で勉強した知識ではなく生まれた時から自然と関わり、自然を利用し、自然と戦い、自然から恵みを受けてきた中で身につけたものだから。そしてその中で育まれてきた文化。かつて日本中にあったが今は失われてしまった大切な精神がここの文化には残っています。
僕が考える西表は決して手つかずの自然、ヤマネコの住む未開のジャングルの島ではなく、自然と人の素晴らしい関係が残された島です。これを体験せずに帰るのでは、西表にきて学んだことはあるのでしょうか?
「西表の自然はこのように素晴らしく、貴重なのです。だからあなたも自然を大切にしましょう」そうエコツアーガイドに語られるよりも、オジーオバーが先祖代々受け継いできた方法で自然と共生している姿を見るほうが、その人の心に何かを響かせることが出来るのではないか?以前から僕はそう思っていました。でもそれを体験できるのは、西表島に住みオジーと酒を飲んだりオバーとユンタクしたりして地域に溶け込んでいる人間だけでした。

だから、この「干立ペンション村(この名称は好きではないが)」はそうした西表の本当の姿を観光客が体験できる数少ない場として期待しています。

今建設が進められている月が浜のリゾートと正反対のものになりそうですが、さてどちらが観光客に受け入れられるでしょうか。

コメント

最新の日記 一覧

<<  2025年5月  >>
27282930123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

お気に入り日記の更新

テーマ別日記一覧

まだテーマがありません

日記内を検索